INTRODUCTION
はじめに
昭和20年8月――終戦
家族を失い
身体を失い
心を失い
残されたのは焼け焦げた街
行き場のない誰もが住処を探していたあの頃
「君は、誰?」
「教えたら、どうにかしてくれるの?」
素性など知ったところで、
どうにもならず
涙など流したところで、どうにもならず
生きるために――その「家」はあった
とある一軒家に集まった老若男女
価値観の違いなどには目をつぶり、生きることを選んだけれど
違和感はそれぞれの心にフワリフワリと浮かんでは消え、消えては浮かぶ
笑い、泣き、愛し、歪み、騙す――ものたち
昭和という時代を経て、平成が終わりを迎える今、2018年。
西瓜糖は演出家、寺十吾を招き、多彩な役者たちとともに、ヒトが心の奥に隠し持つ「ザラツキ」を繊細に炙り出していきます。
あなたの、こころの、
レバアは押されるのか、引かれるのか、
それとも・・・