作品概要
3名の俳優による朗読劇
『5 years after』
朗読劇60分 +
出演者3名によるアフタートーク
『3 actors talk』30分の計90分
■朗読劇『5 years after』
(ファイブ・イヤーズ・アフター)《60分》
20歳、25歳、30歳、5年ごとに起きた人生の転機とは?
この作品は三章に分かれていて、第一章では20歳、第二章では25歳、第三章では30歳の水川啓人(みずかわけいと)が登場します。
3名の俳優がその20歳、25歳、30歳の水川啓人を別々に演じます。
水川啓人を演じない章の2名の俳優はその章に登場する老若男女さまざまな役柄20役を演じ分けます。
つまり、3名の俳優が三章合計で60役を演じます!
その中で水川啓人の人生が浮かび上がり抱腹絶倒の中で涙を誘います。
20歳、25歳、30歳の水川啓人は公演ごとに演じる俳優が変わりますので、何回観ても飽きない新鮮な作品としてお楽しみください
■アフタートーク『3 actors talk』
(スリー・アクターズ・トーク)《30分》
朗読劇は毎回役替わりで演じるため、その日に演じた役柄の印象や役作りの裏話、そして水川啓人を演じた3名の俳優が日々どう過ごし、どう生きてきたか。
お客様の質問にもお答えしつつ本音や人間性に迫り、どんな俳優なのかを丸裸にします。
その中で朗読劇のテーマでもある『enjoy your life』が浮かび上がるアフタートークをお楽しみください。
作・演出 堤泰之
「5years after」は、リーディングのために書いた作品です。通常の舞台用の脚本を読み合わせてみようということではなく、リーデングならではの面白さを追い求めて試行錯誤した結果、なかなか一筋縄ではいかないリーディングドラマが出来上がりました。
出演者は三人。三部構成で、それぞれが主人公・水川啓人を演じます。どういうことかというと、第一部では20歳の啓人を役者Aが、第二部では25歳の啓人を役者Bが、第三部では30歳の啓人を役者Cが演じます。昨日の自分と今日の自分は違う、そして明日の自分も違うんだというメッセージが込められているような、いないような・・1人の人間を3人の役者が演じる。これはもう一筋縄ではいかない、二筋縄、いや三筋縄の作品なのです。
リーディングの面白さの一つに、1人の役者が複数の役を演じやすいことがあると思います。通常の舞台の場合、着替えたりメイクを変えたりしなければならないのですが、リーデングだと声色を変えるだけで成立します。
「5years after」では、主人公を演じていない役者は別の役を演じます。
その数はざっと60役。つまり1人の役者が20役を演じ分けなければなりません。しかもステージ毎に役が変わるので、公演を通して役者は1人で60役を演じることになります。これはもう大変です。三筋縄どころじゃありません。六十筋縄です。
リーディングが面白くなるかどうかは、役者がその難しさをどれだけ理解しているかにかかっています。セリフを覚えなくていいとか、動きも無いから楽だとか、そういう甘い考えで臨むと痛い目に会います。動かずに読んでいるだけだからこそ、難しいのです。お客様を物語の世界に引き込み、想像力を高めて貰うためには、高い技術と集中力が役者に求められます。少なくとも百筋縄くらいの強度が必要です。
ということで、なんと百六三筋縄のリーディングドラマが出来上がりました。最後までごゆっくりお楽しみ下さい。
音楽 細川圭一
3人の出演者がそれぞれ20役を演じ分ける、計約60人の登場人物によるリーディングドラマ。
主人公・水川啓人が様々な出来事を経験しながら年齢を重ねて行くストーリーの中の、特に前半部分に自分の実際の人生を照らし合わせて、少々恥ずかしく、甘酸っぱくも懐かしく、遠い目をしながら届いた台本を読み、非常に没入した覚えがあります。
リーディングドラマは役者の方々が最も得意とし、特に舞台では最も重要且つ、それぞれの最大のセールスポイントと思われる「動き」を封印しなくてはいけないという事で、大変だろうなと思う反面、物語自体が言わんとしている内容が、よりダイレクトに伝わる利点もあるのではないだろうかと思います。
舞台音楽を作る時は、全体の雰囲気を理解してもらいやすいような謂わば壁紙的な曲や、あるシーンでの感情をブーストするような楽曲、または状況が大きく変化した時にはっきりとそれを提示するタイプの曲等々を演出家の求めに応じて付けて行くわけですが、リーディングドラマの場合、ストーリーの内容は劇的に変化したとしても、舞台の様子は視覚的にほとんど、というか全く変化していないという恐ろしい状況下にあります。
しかしながらこの場合、お客様は自身の想像力の深部に達しているはずで、非常にデリケートな心の状態であると推察出来ます。
今回プロデューサーの指示でもあった、「アコースティックギター」というのは音色やその個体も非常にデリケートな楽器で、ひとつ音を出してもすぐに消え行ってしまうものです。
消えては出し、消えては出しを繰り返す過程の中にこそ、何か大切なものがあるのかもしれないというのは、自身も思うところであり、水川啓人をいつの間にか応援している理由でもあるかもしれないと思います。
プロデューサー 難波利幸
この朗読劇『5 years after』という作品は、日常どこにでもいそうな水川啓人(みずかわけいと)が20歳、25歳、30歳の5年おきに経験する出来事を描いています。
つまり、「5 years after」です。学生から社会デビューし、10年間の間で起きる人生のあれこれ。啓人の人生はひょんなことで展開していきます。
我々演劇界の中で生きている若者にも様々な人生があります。うまくいっていると思っている者、うまくいっていないと思っている者、他人からはうまくいっていないと思われながら自分ではうまくいっていると思っている者、他人からはうまくいっていると思われながら自分ではうまくいっていないと思っている者。誰と出会うか、何に影響されて何が起きるのか。
どの世界でもそうですが大きな転機や小さな転機、その時その時に向き合い、どの方向に向かうのか指針を決めて行かなければなりません。我々もそうですが、本当にその時の判断が正しかったのかどうかというのはきっとあとから振り返って思うことなのでしょう。その時の判断で突き進むしかない人生だからこそ水川啓人の人生を垣間見ていただき、何かを感じ取っていただければと思います。
おかげさまで『5 years after』という作品は今回シリーズver.6を迎えることができました。3名のキャストによる朗読劇。今回の12公演は中村誠治郎さん、加藤良輔さん、田中稔彦さん、長江崚行さん、碕理人さんの5名キャストの組合せで上演致します。素晴らしいキャストであると同時に、とても厄介なキャストです(笑)。このキャストの組合せが舞台上で巻き起こす芝居力にワクワクしています。ましてや後半30分のアフタートークはどうなることやら。
堤泰之作・演出による堤ワールドを表現するには役者が占めるウェートはかなりのものがあり、相当の芝居力が要求されます。この朗読劇は全部で60役あることもそうですが、3キャストの組合せの違いによって作品が様変わりします。この『5 years after』に初参加の3キャスト(中村誠治郎/田中稔彦/碕理人)、経験者の2キャスト(加藤良輔/長江崚行)が回替わりで混ざり合い、水川啓人が浮かび上がります。
これまでと同様、徹底してコロナ感染予防対策を実施し、劇場にてお待ちいたしております。
この笑いながら泣ける朗読劇と、それを演じた役者を丸裸にするアフタートーク、楽しさあふれる90分間をぜひぜひ体感していただき、癖になるこの作品を心ゆくまでお楽しみください!